2024年の法改正により、NISAの利用は一段と進むことが期待されています。
新たに「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つの制度が設けられましたが、違いがわかりにくいと感じる方も少なくありません。
また、NISAそのものの仕組みを知らない方もいるでしょう。
本記事では、NISAの基本概要から、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)と成長投資枠(旧一般NISA)の違い、さらにケース別にどちらがおすすめかまで、初心者にもわかりやすく解説します。
NISAとは?つみたてNISAと一般NISAの違い
NISAの基本制度
NISA(少額投資非課税制度)は、2014年に導入された、投資で得た利益が一定額まで非課税になる制度です。
通常、株や投資信託で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、NISAを利用するとこの税金がかかりません。
制度の目的は以下の通りです
一般NISAは、「家計の安定的な資産形成の支援」と「成長資金の供給」を目的として2014年に導入された。
(金融庁引用):
ただし、暗号資産(仮想通貨)やFX(外国為替証拠金取引)は雑所得に分類されるため、NISAの対象外です。
2024年の改正で、新NISAは以下の2つの枠に分かれました。
| 年間投資上限 | 生涯投資上限 | |
| つみたて投資枠 | 120万円 | 1800万円 |
| 成長投資枠 | 240万円 | 1800万円のうち1200万円まで |
| 合計 | 360万円 | 1800万円 |
双方の合計の生涯投資条件が1800万円で、成長投資枠はそのうちの1200万円まで使用できます。
そのため、成長投資枠を使わなければ、1800万円全てをつみたて投資枠に入れることも可能です。
つみたてNISA(つみたて投資枠)とは?
つみたてNISAは、長期的な資産形成に特化した制度です。
年間最大120万円まで投資でき、
成長投資枠を使わなければ生涯1800万円まで積み立てることが可能です。
初心者でも始めやすいよう、投資対象やコスト面が工夫されています。
具体的な特徴は以下の通りです:
- 投資対象は金融庁の基準を満たした投資信託に限定
→ 個別株や高リスク商品はなく、リスク管理がしやすい - 購入時の手数料は無料、保有中の信託報酬も低コスト
→ 少額でもコストを抑えながら長期運用が可能 - 自動積立にも対応
→ 忘れずにコツコツ積み立てられるので、初心者でも無理なく資産形成が進められる
このように、つみたてNISAは「時間を味方にした長期投資」をする人に最適な制度と言えます。
一般NISA(成長投資枠)とは?
一般NISAは、自分で投資先を自由に選べる点が大きな特徴です。
上場株式やETF、不動産投資信託など、幅広い金融商品に投資できます。
年間最大240万円まで投資可能で、成長投資枠を使い切るとつみたて投資枠の上限が600万円までとなります。
具体的な特徴は以下の通りです:
- 投資対象が幅広い
→ 株式やETF、不動産投資信託など、自分で選んで投資できる - 自由度が高い分、自己管理が必要
→ 商品選びやリスク管理は自分次第になる
このため、ある程度投資経験があり、まとまった資金で自由に投資したい人に向いている制度です。
つみたてNISAの特徴とメリット・デメリット
つみたてNISAのメリット
つみたてNISA(つみたて投資枠)のメリットは、低コストで長期的な資産形成がしやすい点です。
つみたて投資枠では、金融庁が定めた基準を満たした投資信託のみが対象となっています。そのため、比較的リスクを抑えた商品が選ばれているのが特徴です。
また、つみたてNISAでは基本的に積立投資を前提とした仕組みになっています。
積立投資とは、毎月一定額を継続して投資する方法であり、「ドルコスト平均法」と呼ばれる手法です。
例えば、毎月1万円を投資する場合、
- 株価が100円のとき:100口購入
- 株価が200円のとき:50口購入
というように、価格が高いときには少なく、安いときには多く購入することになります。
この方法により、市場価格の変動が大きい場合でも、平均購入価格を抑えながら投資を続けやすくなるのです。
つみたてNISAのデメリット
つみたて投資枠のデメリットは、投資の自由度が低いことと投資スピードが遅いことです。
つみたてNISAでは積立投資が基本となるため、自分の判断で一度に大きな金額を投資することが難しくなっています。
そのため、市場価格が下落しているタイミングでまとまった資金を投資したい場合でも、一定額ずつしか投資できないケースがあります。
また、年間の投資上限は120万円です。
生涯投資枠は最大1800万円ですが、この上限をすべて使うには最短でも15年程度かかる計算になります。
このように、つみたてNISAは長期投資に適した制度である一方、短期間で大きな資金を運用したい人には向いていない場合があります。
つみたてNISAと一般NISA、どちらがお得?比較と選び方
結論から言うと、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらが得かは一概には言えません。
どちらも投資で得た利益が非課税になる制度であり、税制面でのメリットは共通しているためです。
ただし、投資方法によってはリターンに差が生まれる可能性があります。
例えば、一般NISA(成長投資枠)では、まとまった資金を一度に投資する「一括投資」が可能です。
株式市場は長期的に成長してきた歴史があるため、早い段階で多くの資金を投資した場合、結果として大きなリターンにつながる可能性もあります。
一方、つみたてNISAは毎月一定額を積み立てる投資が基本となるため、時間をかけて資産を増やしていく運用方法になります。
このように、それぞれの制度には特徴があるため、投資スタイルによって向いている制度が異なります。
ここからは、状況別にどちらが向いているのかを解説していきます。
ケース別NISAの選び方
ケース① 投資初心者はつみたてNISAがおすすめ
投資初心者であれば、つみたてNISA(つみたて投資枠)が向いています。
つみたて投資枠では、金融庁の基準を満たした投資信託のみが対象となっているため、比較的リスクを抑えた商品から選ぶことができます。
また、信託報酬などのコストも低く設定されている商品が多い点も特徴です。
さらに、毎月一定額を自動で積み立てる仕組みになっているため、投資のタイミングを自分で判断する必要がありません。
そのため、価格の変動に一喜一憂して売買を繰り返すといった、感情的な投資行動を防ぎやすいというメリットもあります。
ケース② 個別株に投資したい人は一般NISAがおすすめ
個別株に投資したい人には、一般NISA(成長投資枠)が向いています。
つみたてNISAでは投資対象が投資信託に限定されていますが、成長投資枠では上場株式やETFなど、幅広い金融商品に投資することが可能です。
個別株の中には、配当利回りが高い銘柄や、株主優待を受けられる企業もあります。
そのため、配当金や株主優待を目的に投資を行う人にとっては魅力的な選択肢となるでしょう。
また、個別株投資では企業の決算情報やニュース、事業内容などを分析して銘柄を選ぶ必要があります。企業分析を行いながら投資先を選べる点も、個別株投資の特徴の一つです。
ケース④ まとまった資金を投資したい人は一般NISAがおすすめ
まとまった資金を投資したい場合は、一般NISA(成長投資枠)が向いています。
成長投資枠の年間投資上限は240万円であり、つみたて投資枠の120万円と比べて2倍の金額を投資することが可能です。
投資枠が大きいことで、手元にある資金を比較的早い段階で投資に回すことができます。
そのため、市場の状況を見ながら投資を行いたい場合にも活用しやすい制度と言えるでしょう。
NISAのよくある質問
株はハイリスクなのか?
結論から言うと、株式投資が一概にハイリスクとは言えません。投資の方法によってリスクの大きさは変わるからです。
例えば、1社の個別株だけに集中して投資する場合、その企業の業績によって資産が大きく変動する可能性があります。
一方で、投資信託などを利用して数百〜数千社に分散投資を行う場合、特定の企業の株価が大きく下落しても、資産全体への影響は比較的抑えられる傾向があります。
また、株式市場は短期的には大きく価格が変動することがありますが、長期で見ると経済成長の影響を受けやすいという特徴もあります。
実際に金融庁が公表しているデータでも、長期・積立・分散投資を行うことで、元本割れの可能性が低下する傾向が示されています。
<参考>
https://www.fsa.go.jp/singi/kakei/siryou/20170224/02.pdf
50代から始めても遅くないのか?
基本的に、NISA口座から資金を引き出す際に大きな手数料が発生することは多くありません。
NISAは「投資で得た利益が非課税になる制度」であるため、売却して利益を確定した場合でも税金はかかりません。
ただし、投資信託を売却する際には「信託財産留保額」が発生する商品もあります。これは投資信託の運用資産を守るために設定されている費用で、一般的には0〜0.3%程度に設定されていることが多いです。
そのため、売却時に大きな負担となるケースは比較的少ないと言えるでしょう。
引き出す時に手数料はかかるのか
基本的に、NISA口座から資金を引き出す際に大きな手数料が発生することは多くありません。
NISAは「投資で得た利益が非課税になる制度」であるため、売却して利益を確定した場合でも税金はかかりません。
ただし、投資信託を売却する際には「信託財産留保額」が発生する商品もあります。これは投資信託の運用資産を守るために設定されている費用で、一般的には0〜0.3%程度に設定されていることが多いです。
そのため、売却時に大きな負担となるケースは比較的少ないと言えるでしょう。

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